現実の物の姿をそのまま描かず、色や形、線などで表現すること。
詳しい解説
具体的な人物や風景をそのまま再現するのではなく、色、形、線、質感などの要素そのものによって表現する美術を指します。現実の物を単純化していった結果として生まれた抽象と、はじめから何も再現しない抽象があります。20世紀初めにカンディンスキーやモンドリアンらによって本格的に展開されました。
一般的な意味との違い
日常では「抽象的な話」のように「具体的でない、わかりにくい」という意味で使われますが、美術では「現実の物の形を写さない」という表現の方向性を指す言葉です。
混同しやすい用語との違い
- 具象
- 具象は現実の物の形がわかるように表す表現で、抽象と対になる言葉です。
具体例
- 四角形や線だけで構成された絵画。
- 絵具をしたたらせたり、大きな筆の動きを残したりした絵画。
- 風景をもとにしながら、色の帯だけに単純化した作品。
鑑賞のポイント
この言葉を知っていると、作品のこんなところに注目できます。
- 「何に見えるか」を探すより、色の組み合わせや形のリズムを感じてみる。
- 大きな作品では、近づいたときと離れたときの印象の違いを比べる。
- タイトルが内容のヒントになっていることもあるので確認する。
美術館の解説文での使われ方
「抽象表現」「抽象化」「半抽象」のように使われ、作品の表現の方向性を説明します。
作家は、海辺の風景を出発点としながら、水平線と色彩の関係だけを残すところまで画面を抽象化していった。
公開日 2026-10-25 / 最終更新 2026-10-25